再生医療とは

再生医療とは、病気やけがなどで機能を失った組織や臓器を修復、再生する治療のことです。

患者自身、または他者の幹細胞(全ての細胞のもとになる細胞)などを用いて特定の組織や細胞を人為的に作り出し、それを移植することで失われた組織や臓器を再生することが可能という考え方に基づきます。

再生医療で用いられる幹細胞には、“体性幹細胞”“ES細胞”“iPS細胞”の3つの種類があります。

このうち、当院で使用するのは体性幹細胞です。

体性幹細胞は私たちの体内に広く存在し、血液や脂肪、骨、軟骨、筋肉、血管などの細胞のもとになっています。ある種の細胞は、特定の組織や細胞しか作り出すことができないのが特徴です。現在、もっとも再生医療への応用が進んでいるのは、この体性幹細胞を用いたものです。

再生医療は、従来の治療法では十分な効果が望めなかった病気や、けがを治癒に導く治療法として大きく期待されています。

再生医療における幹細胞の役割

※外部リンクになります

PRP(多血小板血漿)療法とは

PRP療法は自分の血液を使うため、比較的安全性の高い再生医療です。 再生医療は2014年に施行された再生医療等の安全性確保等に関する法律で規制されており、PRP療法は第3種再生医療等に該当します。 再生医療を行うには厚生労働省への届け出が義務付けられ、一定基準の安全性の確保が行われています。

PRP療法は体細胞、特に血液を利用した再生医療となります。
PRPはplate-rich plasma、日本語にすると多血小板血漿です。傷がなおる過程において、血小板は重要な役割を果たしています。血小板からは傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が供給されていますが、PRP療法ではこの組織修復能力を利用し、傷んだ組織の治癒を目指します。

図3:血液を遠心分離することで、 血小板を多く含む成分(多血小板血漿:PRP)を取り出すことができる。

また、APS療法は次世代PRPとも表され、PRPからさらに抗炎症成分(IL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカインを阻害する)や修復成分を抽出したものです。
APSはautologous protein solution、日本語にすると自己タンパク質溶液です。

スポーツ関連疾患(上腕骨外側上顆炎、尺側側副靭帯損傷、膝蓋腱炎、アキレス腱炎)

組織自体が持つ再生能力を超えて、組織への繰り返しの力学的な負荷が積み重なると“変性”してしまい、なかなか治りにくい環境になってしまうことがあります。PRPはこれらの痛んだ組織の細胞を刺激することにより、より正常に近い環境に近づけ、機能を改善することを目的としています。

またスポーツを行っている方で捻挫、肉離れ等の症状があり、少しでも早期復帰を望む方も適応となる場合がございます。

変形性関節症(脊椎椎間板障害、仙腸関節障害、腰、膝、肩肘など障害)

変形性関節症は関節軟骨の老化、肥満や素因(遺伝子)、また骨折、靭帯や半月板損傷など

外傷、化膿性関節炎などを主因として発症しています。例えば、加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、使い過ぎによりすり減り、関節が変形していきますが、同時に分子レベルでも組織修復のバランスの破綻が生じ、疼痛やさらなる関節の変形が促進されます。PRPは主にこの分子レベルでの組織修復のバランスを整える働きを示し、疼痛低減や現状以上の変形の進行を食い止めることを目的とします。

具体的な治療方法

患者様の血液(15cc)を採取し、遠心分離処理をします。遠心分離をすると血液が成分に応じて分離するので、血小板を多く含む血漿部分層をPRPとして採取し、これを患部に注射します。

治療後の一般的な流れと注意点

◎注射後2~3日間は激しい運動をしないでください。

◎注射時には患部の痛みが強い場合があり、また注射後1週間程度腫れや痛み、熱感が持続することがございます。

◎日常生活動作は注射当日から可能です。

◎注射当日、お待ちいただく時間が発生する場合がございます。

◎治療効果、効果の持続時間には個人差がございます。

詳細は診療時に担当医にお問い合わせください。

PRP治療が受けられない方(除外基準)

・出血傾向のある疾患がある方

・抗凝固薬を使用されている方

・貧血のある方

・重篤な感染症のある方、感染を起こしやすい基礎疾患(がん、糖尿病、免疫不全症、膠原病、肝硬変など)

・その他主治医が不適当と判断した方

上記に該当される方は担当医師にご相談ください。

諦めかけた怪我の治療に、PRP療法ができること

靭帯損傷、肉離れ、腱炎などに対してもPRP療法を行います。
また、これまでいろいろな治療を試してきたがなかなか良くならない”難治性”の外傷、障害の治療としてPRP療法を希望する方も多くいます。

このような方は、治るはずの組織が治りにくい環境になってしまっているため、その部位に血小板を注射することで、本来あった自己治癒機転をもう一度活性化させ、怪我を治す環境を再得することができます。

また海外ではとてもポピュラーな治療法であり、日本にも徐々に浸透してきており、変形性ひざ関節症やケガの治療に選択する人が増えています。

費用

PRPは保険外診療(自由診療)となり、当院では以下の通りに価格の設定をしております。
疾患・症状により複数回の治療が望ましい場合もございますので、詳細は診察時に担当医師にお問い合わせください。

  • Condensiaシステム:注射1回あたり 88,000円
  • APS キット    :注射1回あたり 330,000円
参考文献
  • Adam W. Anz et al. (2019). Exercise-Mobilized Platelet-Rich Plasma: Short-Term Exercise Increases Stem Cell and Platelet Concentrations in Platelet-Rich Plasma. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 35, No 1 (January), 2019: pp 192-200
  • Wen-Li Dai et al. (2017). Efficacy of Platelet-Rich Plasma in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 33, No 3 (March), 2017: pp 659-670
  • Patrick A. Smith et al.(2016). Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 44, No. 4
  • Fabio Cerza et al. (2012). Comparison between hyaluronic acid and platelet-rich plasma, intra-articular infiltration in the treatment of gonarthrosis. Am J Sports Med. 2012 Dec;40(12):2822-7
  • Anders Ploug Boesen et al.(2017). Effect of High-Volume Injection, Platelet-Rich Plasma, and Sham Treatment in Chronic Midportion Achilles Tendinopathy A Randomized Double-Blinded Prospective Study. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 45, No. 9
  • Mario Vetrano et al. (2013). Platelet-Rich Plasma Versus Focused Shock Waves in the Treatment of Jumper’s Knee in Athletes. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 41, No. 4
  • 大島康史、眞島任史、高井信朗、変形性膝関節症、今日の診療のためのガイドライン外来診療2020、日経メディカル、281-7、2020 大島康史、変形性膝関節症、今日の治療指針2024、医学書院、1152-4、2024

5月頃開始予定